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数学のショートカットを子どもに教える保護者のイラスト

親が中学数学を教えないほうがいい理由|「等式の性質」が崩れる

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こんにちは。e!センセイ塾長の松尾です。「中学生の数学くらいなら自分でも分かるので、子どもに教えられるんですが、教えたほうがいいでしょうか?」——保護者面談で本当によくいただくご質問です。

結論:親子間で数学を教えるのは、学力停滞の原因になることがあります

結論からお伝えします。保護者の方が中学数学を教えること自体は不可能ではありませんが、親子間の学習は気をつけて行わないと、学力アップどころか学力停滞の原因になることがしばしばあります。

建前では「ご負担が大きいので無理しなくて大丈夫」とお答えしていますが、本音を言えば、20年現場にいる塾長として家で数学はあまり教えてほしくないのです。この記事では、その理由と、保護者の方が代わりに家庭でできる関わり方をお伝えします。

元になった話:「等式の性質」が一夜で崩れた事例

私自身がこのテーマで発信したところ、塾講師の方々から多くの共感をいただきました(320件以上の「いいね」をいただきました)。

塾に通う中学生の保護者の方との面談をしていると、「中学生の数学くらいなら自分も分かるので、子どもに教えられるのですが、教えたりはしない方がいいんでしょうか」と質問をされます。 自分はこのような質問をされた際、「保護者の方もお忙しいでしょうし、途中で喧嘩に塾に通う中学生の保護者の方との面談をしていると、「中学生の数学くらいなら自分も分かるので、子どもに教えられるのですが、教えたりはしない方がいいんでしょうか」と質問をされます。 自分はこのような質問をされた際、「保護者の方もお忙しいでしょうし、途中で喧嘩になったりもするかもしれません。ご負担も大きいと思いますので、そこまではされなくても大丈夫ですよ」と返しています。 建前ではこのように答えていますが、本音を言えば、あまり家で勉強を教えて欲しくないのです。なぜなら親子間の学習は気を付けて行わないと、学力アップどころか、学力停滞の原因になることがしばしばあるからです。 理由はこうです。親子間で勉強を見るとなると、子どもが問題が解けない時、つい答えを教えてしまいます。これは「こうすると答えが出る」という事実をただ言うだけということを意味しています。 以前にこんなことがありました。ある数学の先生が中学1年生に方程式を教えていました。方程式を解く際には「移項の計算」が必要になりますが、まずは移項がなぜ成立するのかを「等式の性質」をもとに説明をします。 この「等式の性質」を理解できると、なぜ移項が成り立つのかが分かります。そこで初めて移項を使ってみましょう、という流れになります。つまり「等式の性質」を理解することは、方程式を学ぶ時には非常に大切なのです。 しかしある生徒が、授業中に教わった「等式の性質」が理解できず、家で方程式を解く際にノートを見ながらうなっていたようです。そこで見かねた保護者の方が、「プラスはマイナスになって、マイナスがプラスになるだけ」と本人に言ってしまったようです。 それを聞いた生徒は、まだ塾に通い始めたばかりということもあり、「それならそうと、塾の先生はそう言ってくれればいいのに」と思ってしまったそうです。色々と細かい理屈はいいから、正解を出すためのやり方だけを教えて欲しい、と考えてしまったのです。 数学ではこのような原理や原則の重要性を理解せずに進めてしまうと、必ず壁にぶつかってしまいます。この生徒はその壁を超えるための原理原則を考えていたにも関わらず、「とにかくこうすれば正解になる」という安易な勉強に飛びついてしまったのです。 自分はその生徒の先生の同僚だったのですが、せっかくの同僚の良い授業が、これで一気に崩れてしまったように思いました。 良い塾の先生は、長い目でじっくりと学力を育成することを考えて授業を行っています。このような授業の良い部分が、親子間の勉強では崩れてしまうケースがしばしばあるのです。

塾長・松尾のXより

問題は「答えを教えてしまうこと」

親子間で勉強を見る際の最大の落とし穴は、お子さまが解けないときについ「答え」を教えてしまうことです。「こうすると答えが出る」という事実を言うだけでは、学力にはなりません。

実例をご紹介します。同僚の中学1年生の数学の授業で、ある生徒さんが「方程式の移項」を学んでいました。移項が成立する理由は「等式の性質」にあります。両辺に同じ数を足したり引いたりしても等式は成立する、という基本原則です。

塾の先生は時間をかけて「等式の性質」を説明し、そこから「だから移項が使える」と繋げていく流れで授業を組み立てていました。生徒さんは家でその意味を考えながらノートとにらめっこしていたそうです。

ところが見かねた保護者の方が、「プラスはマイナスになって、マイナスがプラスになるだけ」と教えてしまいました。生徒さんはそれを聞いて「それならそうと、塾の先生はそう言ってくれればいいのに」と思ったそうです。

なぜこれが「学力停滞」につながるのか

一見、保護者の方の説明のほうが速くて分かりやすいように見えます。事実、その問題は解けるようになります。ところが、

「原理を考える姿勢」が壊れる

「とにかくこうすれば正解になる」という勉強法に本人が飛びついた瞬間、塾の先生がじっくり育てようとしていた「原理から考える姿勢」が崩れます。後の関数・図形・微積分でこの差が大きく開きます。

「理屈は要らない」という学習観が定着する

「細かい理屈はいいから、正解を出すやり方だけ教えて」と本人が思うようになると、新しい単元でも理屈を聞かなくなります。中学数学の壁、特に中2の関数・図形でこの姿勢の差は顕著に出ます。

良い授業の積み重ねが、一夜で崩れる

塾の先生が時間をかけて積み上げてきた「原理を考える」習慣が、家での一言で崩れることが現実にあります。先生の側はそれを把握する手段がないので、軌道修正も難しくなります。

数学が解ける人ほど、答案には書かない試行錯誤を頭の中で動かしています。詳しくは「数学ができる子」もいきなり模範解答は浮かばない|林修先生の予習なし授業もあわせてご覧ください。

原理を飛ばして答えだけに飛びつく学習の比喩イラスト

保護者の方が代わりにできる関わり方

「教えない」とは言っても、お子さまが困っているのを横で見ているのは辛いものです。代わりにできる関わり方を3つ紹介します。

ひとつ目は、「分からないのは今日のどの部分?」と聞くだけにすることです。答えを示さず、本人がどこで詰まっているかを言葉にする手伝いに徹します。「教えない代わりに、整理を手伝う」立ち位置です。

ふたつ目は、「明日先生に聞いてみよう」と促すことです。家で完結させず、分からないところを記録して次回の授業で先生に聞く——これが「原理を考える姿勢」を保つ最善の方法です。

みっつ目は、「家庭学習は答え合わせと進度管理だけ」と割り切ることです。教える内容には踏み込まず、宿題の進捗確認・丸つけ・励ましに徹します。これだけで親子関係も学習効果も両方守れます。

よくある質問

Q. 塾や家庭教師に通っていない場合は、親が教えるしかないのでは?

A. そういう場合は教えてあげるしかありませんが、その際も「答えを言う」のではなく「教科書を一緒に読み、原理から確認する」というスタンスをおすすめします。教科書には先生が時間をかけて伝える原理が書かれています。一緒に教科書を読むだけでも十分価値があります。

Q. 親が教えても伸びる子もいると思いますが、何が違うのですか?

A. 伸びるパターンには、保護者の方ご自身が原理から教えるタイプ・お子さまが原理派の素地を持っているタイプ・親子の関係が学習面で対立にならないタイプ、などがあります。これらが揃えば親子学習も機能しますが、一般的にはかなりハードルが高いので、現場では基本的にはおすすめしていません。

Q. 「家では教えない」と決めたら、お金を払ってでも家庭教師に任せるべき?

A. ご家庭の状況次第ですが、家庭教師や塾を入れる最大のメリットは「家庭の中の役割分担」が明確になることです。教える役割を外に出すと、家庭は応援と進捗管理に集中できます。これが結果的に親子関係にも学力にも効きます。

出典・参考

本記事の事例は、塾長・松尾本人が塾講師時代に同僚と共有していた実例を、自身のX投稿としてまとめたものです。生徒・同僚の特定情報は伏せています。

e!センセイの考え

家庭で大切にしていただきたいのは、教えることよりも「原理を考える姿勢」をお子さまの中に残すことです。家庭は応援と進捗管理、教える役割は外の専門家、という分業をおすすめします。

e!センセイには、原理から丁寧に教えてくれる家庭教師が登録しています。お子さまに合った家庭教師を探すことができ、数学の家庭教師を探す 専用ページもあわせてご覧ください。

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