
小学校英語の落とし穴|中学英語との接続を見据えて
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こんにちは。e!センセイ塾長の松尾です。「小学校で英語をやってきたはずなのに、中学に上がって急に止まってしまいました」「小学校では『楽しい』と言っていたのに、中1の文法でつまずいてしまって…」——小学校外国語が必修化されて以降、こうしたご相談が一気に増えました。私は中学・高校の英語教員免許を持っており、現場で小中の接続の難しさを20年見てきました。今日は、小学校英語で起きている『落とし穴』と、中学英語への接続のために小学校時代にやっておきたいことを整理してお伝えします。
結論:『親しむ』と『正確に書く』は別物
先に結論をお伝えします。小学校英語と中学英語は、学ぶ目的・到達点・評価方法のすべてが異なる別科目だと考えてください。小学校外国語は『親しむ・聞く・話す』が中心ですが、中学英語は『正確に書く・読む・文法を理解する』ことが評価対象になります。
私の現場感では、小学校英語で『楽しかった』お子さまほど、中学英語で初めて『難しい』と感じる傾向があります。これは決して小学校英語が悪いのではなく、目的そのものが違うため、自然に起きるギャップなのです。
この記事では、まず小学校英語の現状を整理し、中学英語との3つのギャップ、小学校時代にやっておきたい準備3つ、中学入学までの最終チェックポイント、最後に失敗パターンをお伝えします。

小学校英語で今、何が起きているのか
2020年から小学校外国語が必修化(小学5・6年で年70時間、教科として成績がつく)され、3〜4年で『外国語活動』、5〜6年で『外国語』が始まります。これは戦後の英語教育の中でも大きな転換で、長らく『中学1年から全員横並びでスタート』だった英語が、小学校段階で大きな差が生まれる教科に変わりました。
私が現場でいちばん驚いたのは、小6時点で英検準2級・2級を持っているお子さまが珍しくない時代になったことです。準2級は『高校中級程度』、2級は『高校卒業程度』とされる級ですから、これは数年前までは考えられない景色です。
一方で、小学校英語が苦手なお子さまも同時に増えました。「ALTの先生の英語が分からないまま小4を過ごした」「単語のつづりが書けないまま小6まで来た」というケースを、私は中学入学後の生徒から何度も聞いています。「全員が小学校で英語に親しめている」のは表向きで、中学入学時点での英語格差は、ひと昔前の比ではないのが現状です。
中学英語との3つのギャップ
小学校から中学に上がった瞬間、英語がガラッと変わります。具体的に何がどう変わるのか、3つに整理します。
| 観点 | 小学校英語 | 中学英語 |
|---|---|---|
| 目的 | 親しむ・聞く・話す | 正確に書く・読む・文法を理解する |
| 評価方法 | 観察・授業中の参加態度 | 定期テストの素点(書き取り中心) |
| 単語の扱い | 音から入る/書けなくても可 | 綴り(スペル)が書けないと得点にならない |
| 文法 | 扱わない or 軽く触れる | 三単現・時制・語順を正確に運用 |
| 量 | 年70時間(小5〜6) | 週4時間 + 宿題 + 定期テスト |
※ 中学英語は『正しく書く・読む』が評価対象になります。「ALTと楽しく話せた」がそのまま点に繋がらないのが、ギャップの正体です。
もうひとつ大事な視点は、中学英語は『英語にルールがある』ことを受け入れるところから始まるということです。私が現場で何度も見てきたのは、中1の文法を初めて教えたお子さまが、「そもそも英語にルールがあったんですね」と心の底から驚く場面です。小学校で「親しむ・喋る」を中心にやってきたお子さまにとって、英語は『何となく聞いて答えるもの』だったわけです。「ルールがある」「正確さが問われる」というパラダイム転換が、中1の最初の壁です。

小学校時代にやっておきたい3つの準備
中学英語への接続を見据えて、小学校時代にやっておきたい準備を3つお伝えします。「親しむ」だけで終わらせず、中学で評価される土台を、小学校のうちに薄くでも積んでおく発想です。
① 小学校で出た英単語を『書ける』状態にする
小学校6年間で扱う英単語は約600〜700語です。「聞いて分かる」「言える」だけで終わらせず、中学入学前に綴り(スペル)が書けるようにしておくことが、最大の準備です。たとえば apple・banana・school・teacher など、日常で耳に馴染んだ単語を、書き取りで答えられる状態にしておく。これだけで中1の最初の定期テストの景色が大きく変わります。
② 『英語にはルールがある』ことを軽く体験させる
be動詞と一般動詞の使い分け、I am / You are / He is の違い——いきなり文法書を渡す必要はありませんが、「英語には決まった『型』があって、その型を覚えると伝わる」という感覚を、小学校時代に薄くでも体験させてあげてください。会話アプリやNHKラジオ講座など、子ども向けでルールに触れられる教材も選択肢になります。
③ 『英語は語順の言語』を意識する
日本語は助詞で意味が決まる言語ですが、英語は語順(並び順)で意味が決まる言語です。「私は犬が好き」と「犬が私は好き」は日本語では同じ意味ですが、英語では I like dogs と Dogs like me で意味が反転します。この感覚を、簡単な短文の並び替えゲームなどで体験させておくと、中学の5文型の学習で躓きません。

中学入学までの最終チェックポイント
小学校卒業から中学入学までの春休みは、中学英語への接続のためのラストチャンスです。次の3つができていれば、中1の最初の定期テストで困ることはまずありません。
アルファベットの大文字・小文字を全部書ける
意外と見落とされがちですが、アルファベット26文字を大文字・小文字とも書けるかは、中学英語の最低限の前提です。q と g、b と d の書き分けに迷うお子さまは、ここから手を入れてください。
ローマ字読みと英語読みを区別できる
「school」を「スチョオル」と読むのではなく、英語の発音「スクール」で読めるか。ローマ字(日本式の音)と英語の音は別物という感覚を持っているかどうかは、中1のリスニングの伸びを大きく分けます。
小学校で出た英単語を100語書ける
目安として、小学校で何度も出てきた頻出英単語のうち、100語を書き取りで答えられる状態にあれば、中1の最初の定期テストは安心です。1日10語×10日で十分間に合います。
気をつけたい失敗パターン3つ
小学校英語の落とし穴で、私が現場で見てきた失敗パターンを3つお伝えします。
① 『小学校で英語をやってるから安心』と思い込む
小学校英語は「親しむ」が目的なので、中学英語の評価軸で見れば『何もやっていないのと同じ』状態のお子さまもたくさんいます。小学校で英語の授業があることと、中学英語に備えられていることは、別問題だと考えてください。
② 『英会話だけ』に偏らせる
英会話教室で『話す・聞く』だけを伸ばしても、中1の定期テスト(書き取り中心)には直接効きません。英会話は素晴らしい体験ですが、中学英語の準備とは別軸として理解してください。「英会話に通っているから安心」と思い込まないように。
③ 『中学から頑張ればいい』が崩れた現状を見落とす
かつての英語は、中1から全員横並びでスタートできる稀少な教科でした。今は小6で英検2級を持っているお子さまも珍しくありません。「中学から頑張れば追いつける」は半分崩れていることを、ご家庭の戦略に取り込んでください。
よくある質問
Q. 小学校で英語が苦手だと、中学英語は手遅れですか?
A. 手遅れではありません。中学英語は「正確に書く・読む・文法を理解する」が中心なので、小学校での『話す・聞く』とは別の入口から立て直せます。中1の春休み〜1学期で、小学校英単語の総ざらいと簡単な文法(be動詞・一般動詞・三単現)を集中的に押さえれば、十分間に合います。英語が苦手な状態からの立て直しについては、英語が苦手な子の克服法もあわせてご覧ください。
Q. 小学校でも英検を受けさせるべきですか?
A. 「中学英語の準備として英検を活用する」という意味では、ありです。ただし英検の合格と中学英文法の習得は必ずしもイコールではないので、級だけを目的化しないようご注意ください。準2級・2級を取っていても、中1の三単現で躓くお子さまも珍しくありません。級を目指すなら、並行して中学英文法の基礎も少しずつ触れていくのがおすすめです。
Q. 英会話と学習塾、小学校時代はどちらが優先ですか?
A. 中学英語に備えるという観点では、学習塾や個別指導で「読む・書く・文法」を薄くでも触れておくことの方が直接効きます。英会話は耳と度胸を育てる価値がありますが、中1の定期テストには直接繋がりません。ご家庭の方針次第ですが、両立するなら、英会話を続けつつ小5〜6で文法に少しずつ触れるバランスをおすすめします。
Q. 小学校で英語が好きすぎて、ALTとも喋れるレベルです。中学が心配です。
A. 「話せる」のと「中学英語で得点できる」のは別物です。話せるお子さまほど、中学で「正確に書く」「文法ルールに従う」ことに違和感を覚えやすい傾向があります。中1の春休みに、文法書を1冊薄くてもいいので通読し、「英語にはルールがある」前提を腹落ちさせておく時間を取ることをおすすめします。
Q. 塾と家庭教師、小学校英語の補強にはどちらが向いていますか?
A. ご家庭の状況によりますが、塾は「集団で同じカリキュラムを進める」のが強み、家庭教師は「お子さまの躓きに合わせて柔軟に進度を変えられる」のが強みです。小学校英語で英会話寄りに進んできて、中学英語の準備として文法を入れたい場合、家庭教師や個別指導の方が個別最適化しやすい場面が多いです。
出典・参考
文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)外国語活動・外国語編」(2020年実施の小学校外国語必修化)。中学英語との接続の課題は、文部科学省「小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック」「中学校学習指導要領(平成29年告示)外国語編」をご参照ください。
本文中の「中学入学時点での英語格差はひと昔前の比ではない」「『親しむ』と『正確に書く』は別物」「英語は語順の言語」などの主張は、塾長・松尾(中学・高校の英語教員免許保有)の20年の現場経験(学校教員→集団塾→個別指導→プロ家庭教師→講師育成)に基づく所見です。
e!センセイの考え
私が現場でいちばんお伝えしたいのは、小学校英語と中学英語は『連続している』のではなく『接続している』ということです。同じ「英語」という看板はかかっていても、目的・評価軸・問われる力が大きく違う。だからこそ、小学校時代の春休みに『接続のための準備』を意識的に入れることが、中1の英語の伸びを大きく左右します。
e!センセイには、小中の英語接続を専門で見てきた講師、現役の英語教員経験者、英語が専門の大学生など、多様な背景の方が登録しています。お住まいの地域・科目から家庭教師を探す ことができ、英語の家庭教師を個人契約で探す 専用ページや、英語が苦手な子の克服法 と 中1ギャップ|小学校との違いとつまずきの防ぎ方、受験勉強はいつから始める? もあわせてご覧ください。

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