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中学数学を家庭教師と一緒に見直す中学生のイラスト

中学数学3年間の地図|詰まる順と立て直し方

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こんにちは。e!センセイ塾長の松尾です。「中学数学だけはどうしても伸びません」「中2の途中で完全に止まってしまいました」——保護者の方との面談で、英語と並んで最も多くいただくご相談です。私は中学・高校の数学教員免許を持っており、20年の現場で数学が苦手なお子さまを数えきれないほど見てきました。今日は、中学数学3年間の「詰まりやすい単元の地図」と、立て直しの順番を、現場感をそのままお伝えします。

結論:中学数学は『中1の計算』が9割

先に結論をお伝えします。中学数学が苦手な原因の9割は、中1で身につけるべき計算力の不足です。中2で連立方程式が解けないお子さまも、中3で平方根に詰まったお子さまも、根を辿っていくと「中1の正負の数・文字式・方程式の計算」のどこかで止まっている、というのが私の現場感です。

ある先輩講師は、「計算力がある人は全ての問題がクリアに見える、計算力がない人は全ての問題がボヤけて見える」と表現していました。計算は、数学を「読む」ための眼鏡そのものです。眼鏡がボヤけていれば、関数のグラフも図形の証明も、何ひとつまともに見えないのです。

この記事ではまず、中1・中2・中3の単元の地図をお見せします。そのうえで、「詰まったときにどこから戻ればよいか」の判断軸と、立て直しの順番、失敗パターンまでまとめて整理します。

中1・中2・中3の数学単元の地図を3本の道筋で表したイラスト

中1の地図|計算の3単元と関数の入口

中1で扱う主な単元と、私の現場での詰まりやすさの感覚は次の通りです。

正負の数(4月〜5月)

中1の最初。マイナスの感覚に慣れるまでが勝負。「5−2=−3」「−3−2=−5」を即答できるまで反復するのが鉄則です。ここで止まっているお子さまは、中3になっても二次方程式の解の符号でつまずきます。

文字式・方程式(6月〜10月)

中学数学の本丸。x、y、a、b の文字を「数の代わり」として扱う感覚、これが体に入るかどうかで3年間が決まります。ある場面で 5×6 を 56 と書いてしまうお子さまをよく見ます(a×b=ab の表記を真似てしまうのです)。これは責められません。表記のクセを「腑に落とす」のに、相当な反復が要るのです。

比例・反比例(11月〜12月)

関数の入口。関数とは「対応の規則」だ、という抽象に踏み込みます。比例定数 a の意味を「2倍ずつ増えるなら a=2」と言葉で説明できるかどうか、ここを丁寧に。グラフの描き方ばかり練習しても、関数の本質には届きません。

平面・空間図形(1月〜3月)

図形の基礎。作図・対称移動・回転移動を体で覚える時期。図形は計算力の影響が比較的小さい単元なので、計算が苦手なお子さまにとっては「点が取れる」貴重な領域です。

中1の計算量の目安は、文字式・方程式だけで1万〜3万問と私は伝えてきました。「100問くらい解いたら計算は身につく」と思っていらっしゃる保護者の方が多いのですが、それでは全然足りないのです。

中2の地図|連立方程式・一次関数・図形証明

中2は、中1の文字式・方程式が完璧であることが大前提の単元が並びます。

連立方程式(4月〜7月)

中1の方程式が「速く・正確に」解けない状態で連立方程式に入ると、確実に詰まります。連立方程式自体の解き方は単純で、x を消去するために両辺を何倍するかという方針さえ立てば作業ゲームです。「ここで止まる」=「中1の計算が定着していない」と読み替えてください。

一次関数(8月〜11月)

中2の山場。y=ax+b の a が傾き、b が切片という言葉と、実際にグラフの上で何が変化するかを結びつけられるかどうか。「傾きの意味」を、お子さまの志望校(公立中の延長か、中高一貫の数学か)に合わせて教え方を変える単元でもあります。

図形の合同・平行(11月〜1月)

中学数学で初めて「証明」が登場します。「なぜそうなるか」を順序立てて記述する文章力が問われる単元。数学が苦手なお子さまでも、ここで国語力で巻き返せることがあります。逆に、計算は得意でも記述が苦手な子は、ここで初めて苦戦します。

確率(2月〜3月)

中2のまとめ。樹形図と組み合わせの考え方を扱います。比較的独立した単元で、計算力の影響を受けにくい。確率だけは得意になれるお子さまも珍しくありません。

「中2の途中で数学が分からなくなった」というご相談が現場で本当に多いのですが、ほぼ全件、中1の方程式・文字式まで戻る必要があります。中2の単元を中2の単元として教え直しても、ほとんど効果が出ません。

中3の地図|平方根・二次方程式・相似・三平方

中3は、高校数学への橋渡しの単元が並びます。中1・中2の積み上げがあれば、ここで一気に視界が広がる時期です。

展開・因数分解 / 平方根(4月〜7月)

「(a+b)² = a² + 2ab + b²」のような展開公式と、平方根(√)の登場。計算量がさらに増え、ここで中1の計算ボヤけが致命傷になります。√のついた数を実数として扱う感覚、これも反復でしか身につきません。

二次方程式(7月〜9月)

解の公式が登場します。公式は3秒で覚えられますが、中3の1割しか『なぜこの公式が成り立つか』を証明できないのが実態です。証明できなくても解けますが、できる子は数学が「楽しい」と感じやすいです。「なぜ自分はこの問題が解けているのだろう」と考える瞬間が、数学の入口です。

二次関数 y=ax²(10月〜11月)

中1の比例、中2の一次関数の発展。関数の3年間が、ここでひとつにつながる瞬間です。傾きが定数だった一次関数と、傾きが変化する二次関数。グラフの形(放物線)も、計算量も一段上がります。

相似・三平方の定理(11月〜2月)

図形のクライマックス。三平方の定理(a²+b²=c²)は中学数学最大の発見の一つと言ってもよいくらい強力な道具です。相似と組み合わせると、立体図形の問題まで解けるようになります。

詰まる順|どこから戻ればいいかの判断表

「うちの子は◯◯で止まっています」というご相談に対して、私が現場で行う「戻り先の判断」を表にしました。詰まっている単元から、どこまで遡るかの目安です。

詰まっている単元戻るべき単元戻る理由
連立方程式(中2)文字式・方程式(中1)1元方程式の計算が定着していないと連立は作業にならない
一次関数(中2)比例・反比例(中1)/ 方程式(中1)対応の規則の感覚 + 移項・代入の計算が前提
図形の証明(中2)中1の角度・図形 + 国語の論理「なぜ」を記述する文章力が必要
平方根(中3)正負の数(中1)/ 文字式(中1)符号の処理と文字の扱いができないと √ は扱えない
二次方程式(中3)方程式(中1)/ 展開(中3前半)解の公式の展開計算が処理できないと詰む
二次関数(中3)一次関数(中2)/ 比例(中1)関数の3年間が縦に積み上がっている
相似・三平方(中3)図形の合同・証明(中2)図形の論理が前提

※ 共通して、どの単元の詰まりも『計算量の不足』が裏側にあることが多いです。立て直しは、まず該当学年の計算問題集を1冊終わらせるところから。

保護者の方が「中3だから中3の問題集を」と買ってこられることが多いのですが、本当に効くのは中1・中2の計算問題集に戻る勇気です。遠回りに見えて、これがいちばん早道なのです。

計算力が数学全体を「見るためのメガネ」になることを表すイラスト

立て直しの順番|計算 → 文章題は『図表→式』

立て直しの順番は、私の現場では一貫しています。

① まず計算|該当学年の計算問題集を1冊

中1から戻るのが最短ルート。「文字式と方程式だけで1万問」を目標に。1問30秒なら1時間で120問、毎日1時間で1ヶ月で3600問。とにかく計算は『体で覚える』ものです。

② 文章題は『文章→図表→式』の順

文章題が苦手なお子さまは、いきなり式を書こうとします。私が以前、ある転塾生のお子さまを担当したときに、割合の問題で問題文を読まずに「〜が」を探して数字を当てはめるだけの解き方をしていて驚いた経験があります。前の先生が「クモワ公式」「キハジ公式」のような『魔法の公式』で教えていたのが原因でした。問題文 → 図や表に書き出す → 式に直す、この3段階を必ず踏ませると、文章題は崩れにくくなります。

③ 公式は『導出』とセットで

公式を覚えるだけで満足しないでください。「なぜこの公式が成り立つか」を一度でも導出できると、忘れにくくなりますし、応用も効きます。中3で二次方程式の解の公式を扱うときに、その導出(平方完成)まで踏み込めるかどうかで、その後の数学の見え方が一段変わります。

気をつけたい失敗パターン3つ

最後に、私が現場で「これは合っていないサインだ」と感じる失敗パターンを3つお伝えします。途中で気づいたら、関わり方を切り替えるサインです。

① 先取りに逃げる

「公文で中学範囲まで終わっているから、現学年はもう大丈夫」というお子さまをよく見ます。先取りは現学年を深く学ばないための免罪符になってしまうことがあります。中学範囲を流して終わらせるより、中1の計算を1万問解くほうが、はるかに将来の数学を支えます。

② 公式暗記でしのぐ

公式をやたら暗記しているお子さまは、数学を理解しているというより、不安だから覚えて数字を当てはめていることが多いです。できる子は公式を暗記せず、その場で導出します。お子さまが「公式を覚えれば点が取れる」と言い始めたら、理解からの逃避が始まっているサインとして見てあげてください。

③ 文章題を『魔術』と思う

「問題文から綺麗な式が突然生まれる」と思っているお子さま、けっこういらっしゃいます。私の同僚はこれを「数学を魔術と思っている子は伸びない」と表現していました。実際の数学は、ゴチャゴチャと試行錯誤しながら式に辿り着くものです。模範解答に書かれない「途中の試行錯誤」を、塾や家庭教師がきちんと見せてあげる必要があります。

数学学習で陥りがちな3つの失敗パターン(先取り・公式暗記・魔術視)を表すイラスト

よくある質問

Q. 中3になってからでも、中1の計算に戻るべきですか?

A. 戻る価値があります。私が現場で見てきた範囲では、中3の数学が分からないお子さまの多くは、中1の文字式・方程式に穴があります。中3の問題集を3冊やるより、中1の計算問題集を1冊終わらせるほうが効果が大きいケースが多いです。残り時間と志望校との兼ね合いで、家庭教師や個別指導の先生に判断してもらうのがおすすめです。

Q. 計算ドリルを毎日やっていますが、伸びません。

A. 1日10〜20問のドリルでは、残念ながら計算力は身につきません。私の感覚では、文字式・方程式だけで最低1万問、できれば3万問が必要です。1日1時間×30日で3600問が目安です。短期集中で量を投下する時期を作ってあげてください。

Q. 図形の証明だけがどうしてもできません。

A. 図形の証明は『なぜ』を順序立てて書く文章力が問われます。計算が得意なお子さまでも、ここで初めて苦戦することがあります。証明問題は、まず教科書の例題を10題まる写しして「型」を体に入れるのが近道です。三角形の合同条件・相似条件は、文章の型として暗記する価値があります。

Q. 公式は覚えるべきですか?覚えなくていいですか?

A. 本質を理解している子は、自然と覚えますし、忘れても導出できます。本質を理解していない子は、公式に頼って数字を当てはめるだけになります。「公式を覚えれば点が取れる」と思い始めたら、理解からの逃避が始まっているサインなので、一度立ち止まる必要があります。公式は『道具』であって『目的』ではありません。

Q. 塾と家庭教師、数学の立て直しにはどちらが向いていますか?

A. 計算の量をこなす段階では、家庭教師や個別指導の方がペースを完全に合わせられるため向いています。集団塾は中3でクラスのカリキュラム通り進むので、中1の計算に戻る時間が取れません。計算が定着して中3の応用問題に挑戦する段階に来たら、集団塾の競争環境が効くこともあります。

出典・参考

文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)数学編」。中学数学の単元構成・指導順序・到達目標はこちらをご参照ください。

本文中の「計算1万〜3万問」「文章題は文章→図表→式」「公式は導出とセット」などの判断軸は、塾長・松尾(中学・高校の数学教員免許保有)の20年の現場経験(学校教員→集団塾→個別指導→プロ家庭教師→講師育成)に基づく所見です。

e!センセイの考え

中学数学が苦手なお子さまを見ていていつも思うのは、「数学が苦手」というより「中1の計算でつまずいたまま、誰も気づかずに3年経ってしまった」というケースが圧倒的に多いことです。これはお子さまの責任ではなく、学校の集団授業の構造上、止まったまま流される子が必ず生まれてしまうためです。

1対1でじっくり戻り先を判定して、計算を体に入れ直す——この立て直しは、家庭教師や個別指導が最も得意な仕事です。集団塾だと、現学年のカリキュラムから外れて中1まで戻る、という運用が構造的に取りにくい面があります。

e!センセイには、中学・高校の数学を専門で教えてきた講師、現役の数学教員経験者、理系の大学生など、多様な背景の方が登録しています。お住まいの地域・科目から家庭教師を探すことができ、計算力こそ数学を見るメガネ文章題は『文章→図表→式』受験勉強はいつから始める? もあわせてご覧ください。

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