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努力の過程を褒める保護者と子どものイラスト

科学的に正しい褒め方とは?「頑張ったね」で伸びる

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こんにちは。e!センセイ塾長の松尾です。「子どもをどう褒めれば、やる気が続くのでしょうか」——前回、“とにかく褒める”のはかえって逆効果になりやすいとお伝えしました。では、子どもを本当に伸ばす褒め方とは、どのようなものなのでしょうか。

結論:能力ではなく「努力・過程」を褒めると、子どもは伸びます

結論からお伝えします。子どもを伸ばすのは、「頭がいいね」と能力を褒めることではなく、「よく頑張ったね」と努力や過程を褒めることです。これは“成長マインドセット”という考え方の土台にもなった、有名な実験で確かめられています。

前回の記事「褒めると伸びるは間違い?」では、中身を伴わない称賛が成績をむしろ下げてしまうことを見ました。今回はその続きとして、では具体的にどう褒めればよいのかを、コロンビア大学の実験と、家庭でそのまま使える声かけ例から見ていきます。

テストの結果を前に「なんと声をかけたものか」と迷う——これは保護者の方なら誰しも経験することだと思います。褒め方ひとつで子どもの取り組みが変わるのなら、その“正解”を知っておきたいものですよね。

挑戦を続ける成長マインドセットの中学生のイラスト

コロンビア大学の「褒め方」実験

アメリカのコロンビア大学で、こんな実験が行われました。対象は、小学校高学年(10〜11歳ごろ)の子どもたちです。まずIQテストのような問題に取り組んでもらい、良い成績だった子どもをランダムに2つのグループに分けました。

そして、片方のグループには「あなたは頭がいいのね」と、子どものもともとの“能力”を褒めました。もう片方には「あなたはよく頑張ったね」と、結果に至るまでの“努力・過程”を褒めたのです。声をかけた内容は、ただこれだけの違いです。

その後、両グループに同じように学力を測る課題を続けてもらい、成績と取り組み方を追跡しました。たった一言の褒め方の違いが、その後どれほどの差を生んだのか——結果は次のとおりです。

能力を褒めるか、努力を褒めるか——結果は正反対に

褒め方その後の成績失敗したときの様子
「頭がいいね」(能力を褒める)下がった結果をごまかす・不正も
「頑張ったね」(努力を褒める)上がったあきらめず挑戦を続ける

※ コロンビア大学のミューラー&ドゥエックによる実験(1998年)。同じ成績の子どもを、褒め方だけ変えて比較した。

「頭がいいね」と能力を褒められた子は成績を落とし、「頑張ったね」と努力を褒められた子は成績を伸ばしたのです。そして、差はそれだけではありませんでした。

能力を褒められたグループは、悪い点を取ると結果を親に偽って伝えたり、テストで不正に手を出したりする傾向が表れました。「頭がいい自分」を守ろうとして、失敗を隠す方向へ向かってしまったのですね。

一方、努力を褒められたグループは、満足のいく結果が出なくても「もっと頑張ればできるはずだ」と考え、挑戦を続けました。同じ子どもたちが、褒め方ひとつでここまで変わるのです。

叱るときも「結果」ではなく「過程」を見る

この実験が教えてくれるのは、もともとの能力を褒めると子どもの学力を下げ、結果に至るまでの努力を褒めると学力を伸ばす、ということです。

そして同じことは、叱るときにも当てはまります。点数という結果そのものを叱るのではなく、その結果に至った“過程”——計画の立て方や日々の取り組み——に目を向けて伝えることが大切です。結果ではなく過程に目を向ける考え方は、「勉強しなさい!」の声かけに効果はあるのか にも通じます。

お子さまの受験に関わっていると、テストの結果にどう接するか、本当に迷うものです。最後に、褒めるとき・叱るときの声かけを、具体的な例で見ておきましょう。

家庭でそのまま使える声かけ例

同じ場面でも、言葉の向け先を“結果”から“過程”に変えるだけで、伝わり方は大きく変わります。

良い点のとき:能力だけを褒める

「あなたは本当に頭がいいのね。このまま頑張りなさい」——能力だけを褒めると、子どもは“失敗できない自分”になってしまいます。

良い点のとき:頑張った過程を褒める

「塾から帰ったあともちゃんと復習して、遊ぶのも我慢して頑張ってたもんね」——何を頑張ったのかを、具体的に言葉にします。

悪い点のとき:結果を叱る

「なんでこんな点なの?ちゃんと勉強しなさい!」——結果だけを責めても、次への手がかりは残りません。

悪い点のとき:過程に目を向ける

「最近は復習も宿題も後回しになってたよね。そこを変えれば、結果はきっと変わるよ」——直すべき行動を一緒に確認します。

ポイントは、良い結果も悪い結果も、目を向ける先を“過程”に置くことです。これを続けるうちに、子どもは自分で工夫し、失敗から学べるようになっていきます。

能力を褒める vs 努力を褒める比較イラスト

よくある質問

Q. 努力を褒めても結果が出ないときは、どうすればいいですか?

A. 結果が出ていなくても、取り組んだ過程に良い点があれば、そこを具体的に認めてあげてください。そのうえで、やり方のどこを変えればよいかを一緒に考えます。「努力すれば必ず結果が出る」と約束するのではなく、「工夫を続ければ近づける」と伝えるのがコツです。

Q. 「頭がいい」と言うのは絶対にダメですか?

A. 一度の声かけで決まるわけではありません。問題になるのは、能力をたたえる言葉が口ぐせのように繰り返されることです。たまの一言より、日常的に“努力や工夫”へ目を向けた声かけを増やすことを意識してみてください。

Q. 年齢が上がっても同じ褒め方でいいですか?

A. 基本は同じで、努力や工夫の中身を具体的に認めることが有効です。年齢が上がるほど「頑張ったね」だけでは物足りなくなるので、「どこをどう工夫したか」まで踏み込んで言葉にすると、より響きやすくなります。

出典・参考文献

Mueller, C. M., & Dweck, C. S. (1998). Praise for Intelligence Can Undermine Children's Motivation and Performance. Journal of Personality and Social Psychology, 75(1), 33–52.

キャロル・S・ドゥエック『マインドセット「やればできる!」の研究』(草思社)— 上記実験を含む“成長マインドセット”の概念をまとめた一般向け著作。

e!センセイの考え

褒め方・叱り方の“正解”は、結果ではなく、その子が積み重ねた過程に目を向けること。これは家庭だけでなく、お子さまに伴走する家庭教師の関わり方でも同じです。

e!センセイには、点数の上下だけで一喜一憂せず、努力や工夫のプロセスを見て声をかけられる家庭教師が登録しています。お住まいの地域と科目から家庭教師を探すことができ、オンライン指導にも対応しています。

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