
スポーツと学力の関係|部活や習い事は勉強のためにやめるべき?
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こんにちは。e!センセイ塾長の松尾です。「スポーツの習い事は時間も取られるし、体力的にも大変。勉強のことを考えて、やめさせたほうが良いのでしょうか」——小中学生の保護者の方との面談で、本当によくいただくご相談です。
結論:勉強のためにスポーツをやめさせる必要はありません
勉強のためにスポーツをやめさせる必要は、原則としてありません。むしろ「日常的にスポーツをしている子の方が、学力も伸びやすい」ことが研究データから分かっており、これは私が教育業界で20年間、生徒たちを見てきた実感とも一致します。
この記事では、その根拠となる研究データから、スポーツと勉強を両立させるコツ、例外的に「やめどき」を考えたほうがよいサインまで、順にまとめていきます。
確かに運動部の部活やクラブチームは、土日の試合や遠征も多く、定期テストの直前まで練習が続くこともあります。帰宅後、疲れからそのまま眠ってしまう姿を見れば、「勉強の時間が足りなくなるのでは」と心配になるのは、保護者として当然のことです。
しかしこのご相談には、科学的な根拠をもって「やめない方が良い」とお答えすることができます。順に見ていきましょう。

スポーツ経験と学力には正の相関がある
子どもの学力とスポーツ経験には正の相関があること、つまり日常的にスポーツをしている子の方が学力が伸びやすいことは、複数の研究で報告されています。
代表的なものが、ドイツの大規模データを用いた研究です(Felfe・Lechner・Steinmayr、2016年、PLOS ONE誌)。スポーツクラブに参加している子どもには、参加していない子どもと比べて、次のような傾向がはっきりと表れました。
学校の成績が高い
学業成績が統計的に意味のある水準で高いことが示されました。
「非認知能力」も高い
粘り強さや感情のコントロールといった、テストの点数には直接表れない力も、同じように高い結果でした。
情緒・友人関係が安定している
情緒面の問題や、友人関係のトラブルが少ないことも、あわせて報告されています。
「もともと教育熱心な家庭の子がスポーツクラブに通っているだけでは?」という疑問もあるでしょう。この研究はその点にも統計的な手法で踏み込んでおり、家庭環境などの影響を考慮してもなお、スポーツ参加そのものの効果が残ると結論づけています。
「やめればその分勉強する」は、データが否定しています
それでも「スポーツをやめれば、その時間を勉強にあてられるのでは」と考えたくなるものです。しかし、この発想には落とし穴があります。
経済産業研究所(RIETI)が公表した乾友彦氏・中室牧子氏らの研究では、子どもがテレビやゲームに使う時間を1時間減らしても、勉強時間はほとんど増えないことが分かっています。
| 対象 | テレビ・ゲームを1時間減らした場合に増える勉強時間 |
|---|---|
| 男子 | 約1.9分 |
| 女子 | 約2.7分 |
※ 乾友彦・中室牧子ほか「子どもはテレビやゲームの時間を勉強時間とトレードするのか」(RIETI)より。小学校低学年の子どもを対象にした分析。
1時間我慢させても、増える勉強時間はたったの2〜3分。子どもは浮いた時間を勉強ではなく、スマートフォンや動画など別の楽しみに振り替えてしまうのです。この研究自体はテレビ・ゲームについてのものですが、「好きなことを取り上げても、勉強時間はほとんど増えない」という構図は、スポーツにもそのまま当てはまると私は考えています。
むしろ、日常的にスポーツをしている子は、スマートフォンやテレビをなんとなく眺めて過ぎていく「受動的な時間」が少ないことも知られています。限られた時間で生活が回っているからこそ、ダラダラとした時間が入り込む余地が小さいのですね。
テレビ・ゲームと学力の関係は、ゲームやテレビを減らせば学力は伸びる? で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
なぜスポーツをしている子は学力が伸びやすいのか
理由はひとつではありませんが、私は大きく3つあると考えています。
1つ目は、生活リズムが整うことです。練習や試合の時間が決まっているため、起きる時間・寝る時間が自然と固定されます。睡眠は学力の土台であり、成績アップの秘訣はよく眠ること でも書いたとおり、睡眠を削る生活は勉強の効率をむしろ下げてしまいます。
2つ目は、時間が限られているからこそ集中できることです。「時間はたっぷりあるはずなのに、いつまでも勉強を始めない」——保護者の方なら心当たりがあるのではないでしょうか。やるべきことが詰まっている子ほど、「この30分でやり切る」という時間の使い方を覚えていきます。
3つ目は、自尊心や粘り強さといった「非認知能力」が育つことです。先ほどのドイツの研究でも、スポーツ参加の効果は成績だけでなく、情緒の安定や対人関係にも表れていました。試合に向けて練習を積み重ねる、負けて悔しい思いをしてまた挑戦する——この経験は、受験勉強という長丁場を支える力になります。スポーツをしている子は自尊心が高くなりやすく、受験などのプレッシャーにも強い傾向があるとされ、こうした効果は特に女子で大きいという報告もあります。

やめどきを考えてもよい「3つのサイン」
ここまで「やめない方が良い」とお伝えしてきましたが、例外がないわけではありません。私が「一度立ち止まって考えましょう」とお伝えしたいのは、次のようなケースです。
睡眠時間が削られ続けている
練習と勉強の両立のために、睡眠が6時間台まで減った状態が続いているなら要注意です。睡眠不足は学力の土台を直接崩します。まず削るべきはスポーツでも勉強でもなく、夜のスマートフォンの時間です。
本人が義務感だけで続けている
「好きで打ち込んでいる」からこそ、集中力や粘り強さが育ちます。本人の気持ちがすっかり離れたまま惰性で続けているなら、続け方や環境を見直すサインです。
学校生活に支障が出ている
授業中に寝てしまう、提出物が出せない状態が続くなど、学校生活の基本が崩れている場合は、練習量や参加の仕方を調整する必要があります。
逆に言えば、「忙しそうだから」「テストの点数が1回下がったから」だけでは、やめさせる理由にはなりません。やめる決断の前に、まずは時間の使い方の見直しから始めてみてください。
よくある質問
Q. 受験生は部活をいつまで続けてよいですか?
A. 引退の時期まで続けて問題ないケースがほとんどです。途中でやめても勉強時間はほとんど増えない一方で、生活リズムが崩れるリスクがあります。大切なのは引退後の切り替えで、「引退したら何をどの順番で始めるか」を事前に決めておくことをおすすめします。
Q. スポーツと勉強を両立させるコツはありますか?
A. 「帰宅後すぐの30分」「朝食前の20分」など、短くても毎日同じ時間帯に勉強を固定することです。練習で疲れている日でも続けられる長さに設定するのがポイントで、これが勉強の習慣化につながります。長時間の勉強は、練習のない日や週末に回しましょう。
Q. 部活を引退したら成績は伸びますか?
A. 伸びる子は多いですが、自動的に伸びるわけではありません。部活で培った体力と集中力を勉強に向ける計画があって初めて、引退後の伸びにつながります。引退前から短時間でも勉強の習慣を作っておくと、切り替えがスムーズです。
出典・参考文献
Felfe, C., Lechner, M., & Steinmayr, A. (2016). Sports and Child Development. PLOS ONE.
乾友彦・中室牧子ほか「子どもはテレビやゲームの時間を勉強時間とトレードするのか――小学校低学年の子どもの学習時間の決定要因」経済産業研究所(RIETI)ディスカッション・ペーパー
e!センセイの考え
スポーツに打ち込む時間は、学力の妨げではなく、お子さまの成長を支える土台になります。大切なのは「やめさせること」ではなく、限られた時間で成果が出る勉強のやり方を手に入れることです。
e!センセイには、部活や習い事のスケジュールに合わせて指導できる家庭教師が登録しています。お住まいの地域と科目から家庭教師を探すことができ、移動時間ゼロで両立しやすいオンライン指導にも対応しています。

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